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町おこしの課題を考える

町おこしの課題 in 遠野

前回の投稿で日本の地方が抱えている人口減少・高齢化について触れましたが、今回はこのような問題を抱えている地方で町おこしをしている団体についてです。
遠野市はNext Commons Lab (以下NCL : 地域リソースに対する事業創出などを目的とした、マルチセクターによる活動プラットフォーム (前回投稿で説明しています))が手がけた初めての町おこしプロジェクトとして有名で、2年前からメンバーが遠野市入りしており今年が一応最後の年となっています。というのも、NCLに所属しているメンバーは ”地域おこし協力隊” の制度をつかって、3年間助成金(年間200万円~250万円程度)を得て活動を続けているため、この期間が過ぎると地方でビジネスが成功して生活費を稼いでいない限りこれ以上の滞在は難しいためです。
以下、NCLのように政府(今回のケースは総務省)から補助金をいただいて、町おこしを行なっている団体に対する自分の意見・問題点を書いてみました(あくまでも個人的な意見です)。

地元の人々との摩擦・政府の責任

NCLのような団体が地域の課題を解決する際によくみられる問題点として、従来とは異なる販路を開拓したり、新しい観光客を次々と呼び込むなどで、以前とは異なる変化が地域にもたらされることです。この場合、当然といえば当然ですが地元の既得権者との摩擦が起きやすい、もしくは地元の人たちの協力を得るのは難しいということです。私の滞在中にも、ちょっとしたことですが To-Knowのメンバーが空き家となっているお店を事務所として貸してほしいと頼んでも全然応じてもらえず、かなりの期間交渉をしてやっと借りることが出来たのですが、、結局は二階建の建物の一階しか使わせてもらえない始末。一方で、町おこしにきた若者も地元の人たちが従来やっている事業と異なるビジネスを始めて地方を活性化しようとすることから、なかなか両者間の溝が埋まらない。仕方がないところもありますが、少なくとも政府は ”地域おこし協力隊” のような制度を作った段階で、若者たちが早期に地方で事業を行えるよう率先して、誘致した地方自治体と若者の調整を行うくらい気をきかせるべきなのかなと感じました。ただ助成金を若者に与えて、あとは自力で頑張れというのはあまりにも無責任でないかと。。しかも、年間200万円~250万円程度の助成金って、、、月17万円程度となりますが、リスクをとって3年間地方に身をおく若者に対する報酬としては低すぎるのでは!??

地方自治体にも問題

外部から若者たちを受けいている地方自治体も、彼らを受け入れる前にやるべきことがあると思います。地方には素晴らしいビジネスを行っている起業家の方々がいますし、実際私が滞在した遠野には”どぶろく”・”明がらす”など魅力的で地方のイメージとなるようなプロダクトがありました。私が思うこととしては、地方自治体はNCLのような団体を受け入れる前にこのような地方起業家と一緒になって、自分たちの力で町おこしを行うべきなのではないかと。というのも、人口減少が進んでいる困難な地域でビジネスを軌道に乗せている起業家は、独立心があってセンスが抜群にいいと直感的に感じましたので、このような方々と一緒になって町おこしを行うほうが、本当に地元に根ざした、そして地元の人を巻き込み、町そのものを魅力的にできる確率が高いはずだからです。

では解決策は!?

ベストな解決策は今回の滞在の中で見つけることはできませんでしたが、少なくともTo-Knowがやっている活動は町おこしの本質からは外れていないのかなと思いました。彼らのアプローチは “地元の人々がすみたい町を作る、そうすれば自然と魅力的な町になり、人々(観光客含む)が集まってくる” です。今ある資源を地元の人たちを巻き込んで魅力あるものにして、足りないものは補って行く。こうすれば外部の人間だけでなく、地元に根付いたまちづくりができる、と感じましたがこれは本当に理想です。このアプローチの場合、地元の人たちと信頼関係を一から築き上げていかなければならず本当に時間がかかるため(おそらく5年~10年くらいのスパン)、その間の生活費はどうするのか、そもそもこの町おこしをやった後に若者たちにちゃんと生活できるだけのキャッシュフローはあるのか、さらに若者にこれだけの期間地方に身をおく覚悟はあるのか、等々の問題もあります。色々と難しい。。

短い滞在でしたが上記のような状況を地方で目の当たりにできて本当に貴重な体験でした。町おこしが今後の自分のキャリアの一部になるどうかわかりませんが、これからも日本だけでなく先進国で起こり得るだろう地方の状況は引き続きフォローして行きたいと思います。

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